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明治のワーグナー・ブーム :近代日本の音楽移転

西洋音楽が日本にもたらされて一五〇年。日本人は洋楽を短期間に、徹底して取り入れたが、これは世界にも稀な事例なのだ。では、どのようにして洋楽を是とする価値観が生まれ、新しい感性が習得され、コンサートなどの実践が受け入れられたのか。世紀転換期の明治末、宗教学者・姉崎正治(嘲風)の雑誌論文に端を発する「ワーグナー・ブーム」は、日本の洋楽受容の縮図と言っていい。洋楽の流入経路、それに関わった役人や学者、音楽家、「お雇い」教師たちの意図と役割を詳細に辿り、日本近代化のもう一つの流れを描き出す鮮やかな社会文化史。
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